本記事では、AMD社のCPU『Ryzen 9 3900X』について解説しています。
Ryzen 9 3900xはRyzenシリーズ 第3世代のハイエンドモデルであり、発売からすでに3年以上が経過していますが、未だ現役で活躍できる人気のCPUです。
すでに後継モデルのRyzen 9 5900Xがリリースされていますが、価格面や用途によって上手くすみ分けができています。
本記事では、
- Ryzen 9 3900Xのベンチマークと他モデルとの比較
- Ryzen 9 3900Xの特徴
- 有名タイトルにおけるRyzen 9 3900Xのゲーミング性能
- Ryzen 9 3900X対応のおすすめマザーボード
をご紹介します。
なお、以下の記事でゲーミングPCのおすすめについて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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Ryzen 9 3900Xのベンチマーク性能比較と評価
Ryzen 9 3900Xの性能を分かりやすく解説するために、主なCPUのベンチマークを一覧にしました。ベンチマークは専用のソフトウェアを使用して、CPUの性能を数値化し、指標にしたものです。
CPU | スコア |
---|---|
AMD Ryzen 9 7950X | 64291 |
Intel Core i9-13900KF | 64273 |
Intel Core i9-13900K | 54666 |
AMD Ryzen 9 7900X | 51764 |
AMD Ryzen 9 5950X | 45846 |
Intel Core i9-12900KS | 44749 |
Intel Core i9-12900K | 41496 |
AMD Ryzen 9 5900X | 39310 |
Intel Core i9-12900 | 36107 |
Intel Core i7-12700K | 34629 |
Intel Core i9-12900HX | 34689 |
Intel Core i7-12700F | 31421 |
AMD Ryzen 9 3900X | 30633 |
Intel Core i9-12900HK | 29443 |
Intel Core i9-12900H | 28870 |
AMD Ryzen 7 5800X | 28137 |
Intel Core i5-12600K | 27704 |
Intel Core i7-12700H | 26864 |
AMD Ryzen 7 5700X | 26627 |
AMD Ryzen 7 5700G | 24563 |
AMD Ryzen 7 6800HS | 22790 |
AMD Ryzen 9 5900HX | 22988 |
Ryzen 9 3900XはRyzen第3世代のハイエンドモデルで、2019年7月7日にリリースされました。
現在でも十分に活躍する性能を持ったCPUであり、クリエイティブな作業に向いています。
発売当初は12コア24スレッドCPUのハイエンドモデルとして、非常に人気を博しました。人気の秘密は性能の高さに加え、前モデルから定価が20%安くなっており、消費電力も大幅に引き下げられたことでより一般ユーザー向けのモデルとなったことにあります。
後継機モデルであるAMD Ryzen 9 5900Xはベンチマークの結果を見ても、性能が向上していることがわかりますが、Ryzen 9 3900Xとの価格差が大きいです。
まだまだ現役で活躍できるCPUですので、用途に合わせてRyzen 9 3900Xを選びましょう。
Ryzen 9 3900XはどんなCPU?特徴を解説
By: amd.com
ここからはRyzen 9 3900XはどのようなCPUなのか、特長や向いている作業などを解説します。
後継機モデルとのすみ分けについて解説もしていますので、Ryzen 9 3900Xを選ぶ際の参考にしてください。
高いマルチスレッド性能を持つ12コア24スレッドのCPU
Ryzen 9 3900Xは12コア24スレッドの高いマルチスレッド性能を持つCPUです。
発売当初、ライバルであったIntel Core i9-9900Kに大きくスペック差をつけて登場しました。総合性能がCore i9-9900Kに比べ、40%以上向上していると聞けば、当時の衝撃が目に浮かびます。
Ryzen 9 3900Xはハイエンドモデルにふさわしい性能を誇り、12コア24スレッドを活かした動画編集・配信、RAW現像、3D CADなどの負荷が高いクリエイティブな作業を得意としてるモデルです。
zipファイルの解凍・圧縮速度も高速で、現在もクリエイターから高い評価をされています。
またRyzen 9 3900X以前のRyzenシリーズに比べ、ゲーミング性能が極端に低いという弱点も改善されました。
発売から3年近くが経過しても高いパフォーマンスを発揮
Ryzen 9 3900Xは2019年7月7日にリリースされ、すでに発売開始から3年以上が経過しています。
リリース当時は、12コア24スレッドは一般的なモデルにはなかったため、驚異のハイエンドモデルとして話題になりました。
3年間のうちに、後継機であるRyzen 9 5900Xに加え、上位モデルが多く登場していますが現在でも十分に活躍するパフォーマンスを持ったCPUです。
さまざまな上位モデルの登場で、ハイエンドとして扱われることはなくなりましたが、性能が高いCPUは価格も高騰する傾向にあることから、クリエイティブな作業に向いたコスパのよいCPUとして根強い人気があります。
ゲーム配信や動画編集などクリエイティブな作業が得意
Ryzen 9 3900X最大の魅力は、「高いマルチスレッド性能を活かした、クリエイター向けのCPUである」ことです。
動画のエンコードやRAW現象など、CPUのコア数が直接作業時間に影響する作業において、Ryzen 9 3900Xは高い性能を発揮します。Gen4対応NVMe SSDにも対応しているため、ストレージの読み書きにストレスを感じることもありません。
ゲーム配信や動画編集などを積極的に行いたい方で、コスパも大事にするなら十分に選択肢に入るCPUです。
またRyzenシリーズの弱点であった、ゲーミング性能を大きく改善している点も見逃せません。
快適なゲームプレイ、クリエイティブな作業、どちらも満足したい方にもおすすめです。
すでに後継機モデルが登場
Ryzen 9 3900Xを選ぶ際に、最大のネックは後継機モデルRyzen 9 5900Xです。
Ryzen 9 5900Xは、Ryzen 9 3900Xに比べ総合性能が12%向上しています。すでに後継機がリリースされているのですから、Ryzen 9 3900Xを選ぶメリットはないのでしょうか。
Ryzen 9 3900Xは、Ryzen 9 5900Xと比べ、圧倒的に優れている点があります。それがコスパのよさです。
中古市場ではRyzen 9 3900Xは3万円台から、Ryzen 9 5900Xは5万円台から購入できます。Ryzen 9 5900Xは人気の高いCPUですが、価格も高い傾向にあるため、用途や予算に合わせて自分にあったモデルを選びましょう。
有名タイトルのゲーミング性能を紹介
Ryzenシリーズは、元々IntelのCPUに比べゲーミング向けではないと言われていました。総合性能はRyzenシリーズの方が高くても、ゲームでは性能を活かしきれていなかったためです。
しかし、第3世代のRyzenでは弱点であったゲーミング性能も大きく改善しました。ベンチマークの性能を見ても、Core i9-9900Kと比べ、ほとんど差がないか、安定性では上回っているタイトルもありました。
ここからはRyzen 9 3900Xのゲーミング性能を、人気タイトルで出力されるfpsを見ながら解説します。
環境はグラボ「RTX 2080 Ti」を使用し、ゲーム内のグラフィックス設定は「標準」です。
Apex Legend
CPU | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
Ryzen 9 3900X | 234.7 | 218.1 |
Ryzen 7 2700X | 215.4 | 197.5 |
Core i9-9900K | 228.3 | 206.0 |
Apex Legendは、大人気のバトロワFPSゲームです。
非常に洗練された設計で、比較的CPUに依存しないため、グラボの性能が重要なゲームと言われています。
しかしApex LegendではRyzen 9 3900Xが最も高いパフォーマンスを示しました。大人気タイトルなだけに、Apex Legendをプレイしたいと思いゲーミングPCの購入を検討している方には嬉しい結果ではないでしょうか。
また前モデルのRyzen 7 2700Xに比べ、10%以上の性能向上が見受けられます。
FF14
CPU | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
Ryzen 9 3900X | 183.6 | 73.4 |
Ryzen 7 2700X | 157.4 | 59.2 |
Core i9-9900K | 187.8 | 77.7 |
FF14はプレイヤー人口が2700万人を超える大人気オンラインRPGです。
FF14においては、Ryzen 9 3900XとCore i9-9900Kの性能差はほとんどありませんでした。平均FPSも最低FPSも同様の安定感を誇ります。一方、Ryzen 7 2700Xと比べると性能差は明らかです。
Ryzen 9 3900Xは「Ryzenシリーズはゲームが弱点」というイメージを払拭し、FF14を快適にプレイできます。
ただしFF14はアップデートを続けており、アップデートの度に推奨スペックが更新される点には注意が必要です。
Grand Theft Auto V
CPU | 平均FPS | 最低FPS |
---|---|---|
Ryzen 9 3900X | 122.1 | 67.7 |
Ryzen 7 2700X | 103.4 | 59.6 |
Core i9-9900K | 125.1 | 76.0 |
Grand Theft Auto Vは2015年の発売以来、根強い人気を誇り、世界で2番目に売り上げたオープンワールド型アクションゲームです。
元々RyzenシリーズはGrand Theft Auto Vを苦手としていました。Ryzen 7 2700Xの最低FPSが60以下であることからもうかがえます。
しかし、Ryzen 9 3900Xでは大きく改善。最低FPSこそCore i9-9900Kと差がありますが、安定性も高く、ストレスなくプレイするには十分な性能です。
Ryzen 9 3900x対応のおすすめマザーボード3選
Ryzen 9 3900Xに限らず、CPUはマザーボードが対応していないと搭載することができないため、注意が必要です。
マザーボードは、CPUのソケットとチップセットが一致している必要があります。
Ryzen 9 3900Xの対応ソケットは「AM4」、対応チップセットは「X570」「X470」「X370」「B550」「B450」「B350」「A520」「A320」です。せっかく購入したCPUにマザーボードが対応しておらず、搭載できないということの内容を事前に確認しておきましょう。
またRyzen 9 3900Xはオーバークロック※に対応しているため、マザーボードもオーバークロックに対応したモデルがおすすめです。
※定格の最高を上回る周波数でCPUを駆動させること。
ASUS TUF GAMING B550-PLUS
TUF GAMING B550-PLUSはミドルレンジクラスの「AMD B550チップセット」を搭載したゲーミングマザーボードです。
軍用グレードのコンポーネントやアップグレードされた設計から、耐久性や安定性に信頼があり、評判の高いマザーボードです。
M.2 SSDスロットは2つ搭載。PCIExpress 4.0 x16 スロット、PCIe 3.0×4スロット、PCIe 3.0×1スロットを搭載した拡張性の高さに人気があります。
コスパにも優れたモデルですので、Ryzen 9 3900Xと合わせてコスパのよいモデルをお探しの方におすすめです。
ブランド | ASUS |
---|---|
チップセット | AMD B550 |
ソケット | AM4 |
オーバークロック対応 | ◎ |
ASRock B450M Steel Legend
B450M Steel Legendは、高い耐久性と独自のライティング効果によりオリジナルのカラーリングを作成できるゲーミングマザーボードです。チップセットは「AMD B450」を搭載。
カラーリングを指定可能なRGB LEDヘッダーにより、自分だけのカラーリングのマザーボードを作成できます。
製品名があらわすとおり「岩のように堅牢な耐久性」を発揮するため、各パーツへさまざまな工夫がされたマザーボードです。
アルミニウム合金製ヒートシンクは、効率的に放熱を行いシステム全体をより安定させます。ニチコン製 12K ブラックコンデンサは通常のマザーボードに比べ、20%もの寿命を獲得しました。
マザーボードは故障の心配をしたくないという方におすすめのモデルです。
ブランド | ASRock |
---|---|
チップセット | AMD B450 |
ソケット | AM4 |
オーバークロック対応 | ◎ |
MSI MPG X570S CARBON MAX WIFI
MPG X570Sはスタイリッシュな見た目とパフォーマンスを両立したゲーミングマザーボードです。
Ryzen 9 3900Xだけでなく、第4世代Ryzenプロセッサーにも対応しています。
大型のヒートシンクを採用し、ファンレスを可能にしています。静音性が強化されつつも冷却性が高く、ハイエンドPCでも安定した動作を発揮。
最大64Gb/sの転送速度を実現できるLightning M.2スロットを4基装備し、2.5ギガビットLAN、Intel Wi-Fi 6Eを搭載したモデルです。
オーバークロック対応マザーボードですので、CPUのポテンシャルを最大限に引き出せます。
ブランド | MSI |
---|---|
チップセット | AMD X570 |
ソケット | AM4 |
オーバークロック対応 | ◎ |
まとめ
本記事では、AMD社のRyzen9 3900xについて解説しました。
発売から3年以上が経過したRyzen 9 3900Xですが、現在の人気タイトルでも十分なゲーミング性能を発揮しています。クリエイティブな作業においては、まだまだ第一線を張れるパフォーマンスを持ったCPUです。
Ryzen9 3900x対応のマザーボードは、現行モデルRyzen 5000シリーズに対応したものも多く、将来性の面でも安心して利用することができます。
Ryzen9 3900xはコスパにも優れたモデルですので、用途に合った方、予算の都合がある方はぜひ検討してみてください。