ゲーミングPC

XeonシリーズのCPUはゲーミングに使えるか?Core iシリーズCPUとの違いを解説

ゲーミングPCに使われているCPUはIntelの「Core i」やAMDの「Ryzen」が主流です。最新のものは価格も高額ですが、クロック周波数やコア数が高く演算能力が優れているので、ゲームだけでなくさまざまな用途で活躍します。

普段からゲーミングPCや自作パソコンに接している人でも、「Xeon」というCPUについて知っている人はごく少数です。

XeonはIntelが開発したCPUですが、Core iシリーズとの互換性はありません。搭載可能なマザーボードもあまり販売されておらず、メーカーやネット通販などで入手可能ですが一般のものより高価です。

「高額なパーツを使えばゲーミング性能も爆上がりするのでは?」と考える人は少なからずいますが、本当にそうなのか?

本記事では「XeonのCPUはゲーミングに向いているのか?」「Core iシリーズとの違いは何か?」をわかりやすく解説していきます。

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XeonとCore iシリーズの違いとは?

XeonとCore iシリーズとの一番大きな違いは「用途」です。

Core iシリーズやRyzenのCPUは主に一般コンシューマー向けに対し、XeonシリーズのCPUはその多くが業務用に使用され高い信頼性と堅牢さが必要とされる現場で活躍しています。24時間365日フル稼働のサーバーや大手の製作現場など「止まる」ことを許されない場所での使用に適したCPUです。

Xeon用マザーボードにも違いがあり、「ひとつのマザーボードに複数のCPUソケット」が付いている製品があります。

Xeonシリーズは性能の時間差が先行しており、1~3年後に同コア数や周辺アーキテクチャがCore iシリーズに採用される場合が多いです。

多コア・低クロック

XeonシリーズCPUの特徴として「内部コア数」がCore iシリーズよりも多く、クロック周波数は最新のものより低めです。

製品名 クロック数 コア数 スレッド数
Xeon Platinum 9282 2.6GHz(MAX3.8GHz) 56 112
Core i9-13900KS 3.2GHz(MAX6.0GHz) 24 32
Ryzen 9 7950X3D 4.2GHz(MAX5.7GHz) 16 32

上の表はXeonCPUの最多コア数のものを掲載し、core i9-13900KSとRyzen 9 7950X3Dを比較しました。

Xeonがコア数・スレッド数ともに圧倒的に多いのは、サーバーやワークステーションで複数の処理を並列実行可能にするためです。

Xeonシリーズのなかにはコア数・スレッド数が低いタイプもありますが、基本的には業務用途CPUなので「高温にさせない」ためにクロック周波数は落としています。

長時間フル稼働でも安定した性能

XeonCPUの一番の「売り」は長時間フル稼働でも安定した性能を維持できることです。

大量のデータ処理を24時間365日止めずにおこなう業務用サーバー向けCPUなので、その安定性・信頼性はCore iシリーズの比ではありません。

そのうえ低消費電力・低発熱という特徴を考えれば、複雑な画像処理を安定した環境で実行できるゲーミングPCとしての使用が可能です。

内蔵GPUもなく多すぎるメモリを活かせる機会は滅多にありませんが、1~2世代前のXeonならコア数16~20のCPUがあるので「価格度外視でも安定したゲーミング」を楽しみたい人向けのCPUともいえます。

対応しているメモリ容量

XeonシリーズのCPUは対応しているメモリ容量が大きく、最新のCore i9-13900KSが最大128GBですが、Xeon Platinum 8352Mでは最大6TBと桁違いです。

XeonのCPUは大容量のメモリを搭載し膨大な量のデータ処理を得意とするCPUなので、このような違いがあります。

ゲーミングPCでも搭載メモリ量が大きいほど快適にプレイできますが、数TBクラスのメモリは明らかにオーバースペックです。クリエイター向けでも一般のPCにそこまでのメモリは必要ありません。

まさに業務用の超高画質高精細な映像の編集や大規模な3DCGのレンダリング・過酷な動作環境のサーバー向けCPUといえます。

PCI Eレーン数

PCI Eレーン数というのは、ざっくり説明すると「マザーボードの拡張スロットに差すグラボなどのパーツ」が消費するポイント数のことです。

自作PCの組み立てで、グラボやサウンドボード・USB増設インターフェイスカードをセットする際にこのポイント(PCI Eレーン数)を消費します。このPCI Eレーン数が多いほど、拡張スロットにパーツを追加可能です。

例として、PCI Eレーン数が24あった場合レーン数を16消費するグラボを使うと残りは8レーンで、あと8レーン分のパーツを追加可能。レーン数が16の場合は残レーン数が0となり、スロットが空いていてもパーツの追加はできません。

Core i9-13900KSはこのPCI Eレーン数が20に対してXeon Platinum 8352Mでは64もあるので、多くのパーツを取り付け可能です。

消費電力が低く高温になりにくい

XeonのCPUは同コア数のCore iシリーズに比べて高温になりにくく、冷却に必要な電力が少なく済みます。ひと昔前の製品だと一部の同コア数Core i7シリーズのものより消費電力が60%近く低いものがあり、ゲーミング用として差し支えない製品もありました。

Core i9-13900KSと同コア数のXeon Platinum 8160Tは消費電力が150Wと同じですが、クロック周波数が抑えられている分高温になりません。温度が上がりにくいので熱による暴走や不具合が少なく、高性能・高い安定性を求めるヘビーユーザーには理想のCPUです。

その低発熱・高性能・高安定性はクリエイター向けとしても重宝されるので、ゲームでもクリエイトでも活躍できるオールマイティーなCPUといえます。

高額である

一部の製品を除きXeonは高額なものが多く、CPU単体でハイスペックゲーミングPCとハイスペッククリエイター向けPCをセットで購入してもおつりが出るほどです。

2023年2月現在「Xeon Platinum 8352M」の場合、DELLのショップでは税込1,989,735円で販売されております。

こちらの製品に限らずXeonシリーズのCPUはかなり高額で、個人がおいそれと購入できる代物ではないこともXeonシリーズの認知度が高くない理由のひとつです。

ちなみにCore i9-13900KSは現在112,140円、Ryzen 9 7950X3Dが699ドル(現在のレートで約89,549円)になります。

コスパとしては悪いが、ゲーミングPCとしての使用は可能


XeonシリーズのCPUは「安定した性能の維持」「堅牢性」「低発熱」と理想のゲーミングCPUとして使用は可能ですが、一番のネックはその価格です。価格あたりの性能はそれほど高くないうえに、マザーボードを含め比較的入手が困難なこともあり、ゲーミングCPUとしてのコスパはよくありません。

価格に見合った性能のマシンが欲しければ、Core i9やi7のCPU搭載のものを選んだほうが賢明です。現在出回っているFPSゲームでも、多コア・数TBクラスのメモリを活かせる作品が存在しないのも理由になっています。

しかし、まったくゲーミングに向いていないということはなく、むしろ安定性・信頼性の面ではゲーミングCPUとして最高のCPUなので、搭載されたマシンを入手できる機会があればぜひ活用してみてください。

Xeonシリーズはサーバーやワークステーション向けCPU

XeonシリーズCPUが搭載されたマシンは、主にサーバーや業務用PCであるワークステーションです。

サーバーは銀行や病院・公共インフラなど「トラブルが起こってはならない」場所で24時間365日過酷な条件でフル稼働しており、一般コンシューマー向けCPUとは比較にならない安定性や信頼性・堅牢さが要求されます。

ワークステーションは業務用クリエイター向けPCとして採用されており、大規模な3DCGデータの作成や高画質動画のエンコードをメインにしている現場で活躍中です。

ネットサーフィンやメール・事務作業程度にXeon搭載PCは「宝の持ち腐れ」になります。

業務用クリエイター向けPCにXeonが使われている

XeonのCPUが搭載されたPCは老舗PCメーカーからも販売されており、主に3DCG制作現場やテレビ局などの撮影現場で活躍中です。3Dデータのレンダリングや高画質動画のエンコードに使われ、高速で安定した「大量のデータの連続処理」を得意としています。

ここから紹介するマウスコンピューター製PCも「コンテンツ作成向けワークステーション」として販売しております。

業務用PCのためかなり高額ですが、個人でも入手可能なので気になる人や「知識としてPCの存在を知っておきたい」人は調べてみてください。

マウスコンピューター MousePro-W997ST04

マウスコンピューターから販売されているワークステーション「MousePro-W997ST04」です。

標準ではCPUにXeon Silver 4216を一基搭載していますが、カスタマイズ可能なのでデュアルCPUタイプも選択できます。使用されているグラボはNVIDIA T400、消費電力が最大でも30Wとゲーミング用と比較してかなりの省電力です。

モニターは最大で3台接続可能なので、グラフィック作成時にアプリのツールパレットを別画面に配置して作業できます。内蔵された光学ドライブで、顧客から受け取ったデータディスクも外付けドライブなしで読み込み可能です。

万が一の故障でも技術者がPC設置場所に訪問し、その場でパーツ交換・不具合の修正をおこなってくれるので、機密情報が外部にもれる心配がありません。

商品名 MousePro-W997ST04
CPU Xeon Silver 4216
GPU NVIDIA T400
メモリ 16GB
ストレージ NVMe SSD:512GB

マウスコンピューター MousePro-W997DA6

こちらはAI処理や高解像度レイトレーシングなどの最上級クリエイティブ作業向けワークステーション「MousePro-W997DA6」です。

標準でXeon Silver 4216のデュアルCPU仕様で搭載メモリは32GB、最大128GBまで対応しています。ECC対応メモリなので、計算結果の正確性を担保しシステムの破損を回避可能です。

グラボにはNVIDIA RTX A6000を搭載しており最大4基のモニターを接続できるので、クリエイティブ作業と同時に別画面でチャットソフトを常時起動させておくといった使いかたもできます。

負荷の高い4Kノンリニア編集や大規模な3DCG制作・3DCADのデータ作成に最適なハイスペックマシンです。

商品名 MousePro-W997DA6
CPU Xeon Silver 4216 ×2基
GPU NVIDIA RTX A6000
メモリ 32GB
ストレージ NVMe SSD:512GB

Xeon搭載ノートPCは少ないが、まだ入手可能な機種もある

顧客先のオフィスや建築現場などの屋外でもモバイルワークステーションPCの需要はあるので、過去にいくつかのメーカーからノートタイプのXeon搭載PCが販売されていました。

現在はその数が少なくなっており、Amazonや楽天・メルカリなどのサイトでは一部「ゲーミングPC」としてまだ在庫が残っています。メーカーは主にASUSやDELL・富士通・HPで中古品ばかりですが、気になる人は早めに検討してみてください。

今のモバイルワークステーションはCore i9のCPU搭載モデルが主流になっており、価格もXeonのものより安価なので買い手もそちらのほうにシフトしています。

まとめ

Xeon搭載モデルは主としてサーバーやワークステーション向けPCとして販売されています。

ゲーミングPCとしての使用も不可能ではありませんが、性能に対する価格が合わないのでコスパとしてはよくありません。コストを考えると普通に「ゲーミングも可能なハイスペッククリエイター向けPC」の購入をおすすめします。

Xeon CPUとCore iシリーズの違いを以下にまとめました。

    • Xeonはサーバーやワークステーション向けのCPU
    • 多コア・低クロックで瞬間的な性能よりも長時間稼働の安定性を重視
    • 対応メモリ容量とPCI Eレーン数
    • 長時間のフル稼働でも高温になりにくい
    • 一般向けCore iシリーズよりも高額

メインは「業務用」として開発されたCPUですが、高温になりにくく拡張スロットのパーツを気兼ねなく増やせるので、コスト度外視ならゲーミング用途として理想的なマシンになります。