暑い季節も過ぎ去り、お手元のハンディファンをしまおう…としているそこのあなた!
そのハンディファン、ただ収納するだけだと長く使えなくなってしまうかもしれません。
そこで本コラムでは「ハンディファンの正しい保管方法」をご説明いたします。

ハンディファンの保管に重要なポイントは?

「夏も終わったし、次のシーズンまでもう使わないからしまっちゃおう!」
と引き出しの奥底にハンディファンを収納して…ちょっと待ってください!
その前にチェックしなければならない大切なポイントがあります。

それは、ハンディファンのバッテリー残量です。

猛暑日が少なくなると、ハンディファンの出番も少なくなっていきます。
そして冬の時期は基本しまったまま、という方がほとんどなのではないでしょうか。
実は、長い間保管する前にハンディファンをある程度充電しないと、どんどんバッテリーが劣化してしまうのです。

バッテリーが劣化してしまうと、以下の症状が発生します。
・ハンディファンを使用できる時間が短くなる
・ハンディファンを充電する時間が長くなる
・ハンディファンが充電できなくなる(使用できなくなる)

では、保管時に適切なバッテリー残量はどの程度なのでしょうか。

長期保管前のバッテリー残量は「腹八分目」が目安!

しばらくハンディファンを使わない場合のバッテリー残量は、50%~80%が理想的な数値です。
この範囲内であれば、バッテリーに負荷がかかりにくいとされています。

とはいえ、50%~80%に保つためには少し手間がかかってしまいます。
こまめにバッテリー残量をチェックしなければならないので、再び夏が来るまで繰り返すのは面倒に感じてしまうかもしれません。
そのため、少し余裕を持たせて20%~80%に保つことをおすすめします。

また、20%~80%にする、と覚えておくのは少しややこしいかもしれません。
そのため「長期保管時のバッテリー残量は腹八分目に」と覚えておきましょう。
つまり「バッテリー残量が80%の状態」が1つの目安となります。

ここでふと疑問に思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
「どうして満充電(バッテリー残量が100%)じゃダメなんだろう?」
「完全放電(バッテリー残量が0%)の状態でそのままだと良くないの?」
実は100%も0%も、バッテリーの劣化が進んでしまうためNGなのです。

それでは、長期保管時のバッテリー残量が100%または0%を避けた方が良い理由についてご説明いたします。

バッテリーは「満腹」だと劣化しやすい

まず満充電(バッテリー残量が100%の状態)を避けた方が良い理由ですが、バッテリーそのものの仕組みが関わっています。

ハンディファンのバッテリーには、リチウムイオン電池が用いられます。
リチウムイオン電池は、内部でリチウムイオンが発生・移動するといった化学反応を起こすことで、電気を発生させたり放電したりしています。

バッテリーを100%にした状態では、内部の化学反応が進みやすくなり、バッテリーの寿命が短くなってしまうのです。

また、ハンディファンのバッテリー残量が100%になってから、さらに充電をおこなうことでも化学反応が進み、バッテリーがどんどん劣化していってしまうのです

皆さんも「腹八分目の方が健康にいい」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。
バッテリーも同じように、満腹(バッテリー残量が100%)よりも腹八分目(バッテリー残量が80%)の方が長持ちすると考えると、分かりやすいかもしれません。

ちなみに、満充電のまま充電し続けている状態を『過充電』とも言います。
後の『過充電』や『過放電』を防ぐ保護機能で『過充電』にも少し触れています。そちらもお読みください。

「腹ペコ」なバッテリーももちろんNG!

一方、0%での保管はなぜダメなのでしょうか。
「化学反応が進まないし、問題ないのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

バッテリーは使っていなくとも、少しずつ放電して(バッテリー残量が減って)います。
この放電している状態が続くと、最終的にバッテリー残量は0%になってしまいます。

0%になった瞬間に使えなくなってしまう、ということはありません。
ですが、0%のまま長期間放置すると、バッテリーの劣化を早めてしまうのです。
また、放置しすぎたバッテリーは充電そのものができなくなってしまうことがあります。

バッテリー残量が0%、つまり空腹の状態が長く続くと、ハンディファンの具合が悪くなってしまい、次のシーズンに使えなくなってしまう…といったイメージです。

なお、バッテリー残量が0%のまま放置している状態を『過放電』とも言います。
こちらも『過充電』や『過放電』を防ぐ保護機能で、先程取り上げた『過充電』と一緒に触れますので、合わせてお読みください。

『過充電』や『過放電』を防ぐ保護機能

ここまで
「バッテリー残量が100%でも0%でも、ハンディファンに負担がかかる」
とご説明いたしました。
実は、ハンディファンにはバッテリーの劣化を最小限に抑えるための保護機能が搭載されている製品があります。

例えば、オウルテックのハンディファン OWL-HF04シリーズ では、以下の保護機能を搭載しています。
・過充電(電圧/電流)保護
・過放電(電圧/電流)保護
・短絡(ショート)保護※

このうちの『過充電保護』と『過放電保護』は、
・バッテリー残量が100%のまま充電し続けている状態の『過充電』
・バッテリー残量が0%のまま放置している状態の『過放電』
これらに関係しています。

『過充電保護』は、満充電の状態でさらに過充電がおこなわれないようにする機能です。
『過放電保護』は、バッテリー残量が0%の状態で長期間放置した場合に、できる限り劣化が進まないようにする機能です。

注意していただきたいこととして、
「『過充電保護』と『過放電保護』が搭載されているから、バッテリー残量を気にせず保管してもいいんだ!」
という訳ではありません。

あくまでこれらの保護機能は、バッテリーの劣化を最小限に抑える機能であり、バッテリーの劣化自体を完全に食い止めることは非常に難しいのです。

そのため、保護機能が搭載されているハンディファンでも、保管時の注意事項を守っていただくことが大切なのです。

※『短絡(ショート)保護』:ショート(一気に大きな電流が流れてしまう現象)を防ぐための保護機能。

ハンディファンの正しい保管方法とは?

では、ここからはハンディファンの正しい保管方法や、保管時の注意点をご説明いたします。

前提として、ハンディファンを長期保管するために理想的なバッテリー残量は50%~80%です。
こまめなチェックが難しい場合は20%~80%をおすすめとしています。
長期保管前のバッテリー残量は「腹八分目」に!
この前提を踏まえて、


  • 充電する頻度

  • 長期保管するうえで避けたい環境

  • 保管時の細かい注意点


をご説明いたします。

ハンディファンは3カ月ごとに充電してあげる

ハンディファンの充電について、オウルテックでは
3カ月に一度を目安に80%程度の充電をする
ことを取扱説明書に記載しております。

「いちいち充電しないといけないの?」
ちょっと面倒なことですが、これが保管方法における大切なポイントです。

バッテリー残量がLEDランプの個数で表示されるものや、使用頻度あるいは保管環境によっては「3カ月後に見てもバッテリー残量が減ったように見えない」なんてこともあるかと思います。
そのような場合は、無理に充電をしなくとも問題はありません。
また3カ月後にバッテリー残量を確認してあげましょう。
最低限、20%~80%を維持できる頻度で確認することが大事です。

高温多湿の環境で保管しない

先程、ハンディファンのバッテリーにはリチウムイオン電池が用いられているとご説明いたしました。
このリチウムイオン電池は、高温や多湿に弱い性質を持ちます。

直射日光が当たる場所や周辺温度が高くなる場所では、バッテリーは「満腹」だと劣化しやすい でご説明した「リチウムイオンの化学反応」が活発に起きてしまいます。
その結果、バッテリーの劣化を早めるだけではなく、最悪の場合は本体の変形や発熱・発火などにつながってしまうのです。
保管時は陽の光が当たらない場所や、暖房から離れた場所を選ぶようにしましょう。

また、水分の多い場所や湿度の高い場所での保管も避けましょう。
水分がハンディファンの内部に入ると、バッテリーがショートして発火や爆発などの事故につながるおそれがあります。

特に冬場は結露が生じやすい時期です。
「室内よりも涼しいから」と、車のダッシュボードなどに置いたままにすると、ハンディファンに水滴が付く、あるいはハンディファン自体が結露してしまいます。
保管場所には車内や結露しやすい場所を選ばないようにしましょう。
もし、保管時の湿度が気になる場合は、除湿剤(脱湿剤)や乾燥剤の使用も検討しましょう。

ちなみに、『過充電』や『過放電』を防ぐ保護機能で触れた『短絡(ショート)保護』は、ショートを防ぐための保護機能です。
オウルテックのすべてのハンディファンには『短絡(ショート)保護』が搭載されていますので、安心してお使いいただける設計となっています。
ですが、万が一のためにも水滴や水分でハンディファンが濡れないように注意して使いましょう。

ハンディファンへの圧力は避けよう

「引き出しにしまってるけど、色々な物の下敷きになってるかも…」
という方、今すぐ収納場所を見直しましょう!

ハンディファンに内蔵されているバッテリーは、圧力や衝撃にとても弱いです。
弱い=壊れやすい、ではありません。
重大な事故につながる危険性がある、ということです。

バッテリーに圧力がかかると、バッテリー内部が破損し、異常な化学反応が起きてしまう可能性があります。異常な化学反応を引き起こすと異常発熱が止まらず、発炎や発火などの重大な事故につながるおそれがあります。
そのため、ハンディファンの上に物を乗せた状態で保管しないでください。

いつの間にか少し凹んでいたりした、といったときは、異常を確認した時点で適切に廃棄するか、メーカーへお問い合わせいただくことをおすすめします。

また、物が上に乗った状態で収納してしまうと、当たり所によっては電源ボタンが押されて、そのままオンになった状態が続いてしまいます。
そうなると最終的にはバッテリー残量が0%(過放電)の状態になってしまうため、バッテリーの劣化や故障につながります。

最近では、猛暑下での被災を想定して、防災バッグや防災リュックにハンディファンを入れる方も増えています。
バッグやリュックに入れる防災用品には、かさ張るものや重い物もあるので、しまい方には注意するようにしましょう。
また、ハンディファンのバッテリー残量の確認と合わせて、備蓄品の消費期限や使用期限をチェックするのもおすすめです。
ハンディファンの動作チェックを合わせておこなうことで、有事の際に備えた一石二鳥のチェックになります。

羽根のホコリや持ち手の汚れを掃除しよう

ハンディファンをしまう前に羽根に付いたホコリや、持ち手などの汚れを掃除しておきましょう。

羽根のホコリをそのままにしておくと、ファン部分のモーターに負荷がかかり、回転数の低下など機能性が落ちる場合があります。
そのため、長期保管前にハンディファンの掃除をしておくと、来シーズンも快適にハンディファンをお使いいただけます。

羽根のホコリは、エアダスターでホコリを飛ばしたり、ブラシ付きの掃除機をかけたりしてみましょう。
ファン部分の狭い隙間には百円ショップなどで販売されている隙間ブラシや、毛の長いブラシを使うのもおすすめです。

持ち手には汗や皮脂が汚れとして付着している場合があります。
そういった汚れが酷い場合は、水で薄めた中性洗剤を柔らかい布に少しだけ付けて拭き取りましょう。
この時、洗剤残りがないように拭き取ることと、電源ボタンや充電ポートなどの隙間から水分が中に入らないように注意しましょう。

「しまう前に掃除するのは面倒だな…」
という方は、使用期間中に週1、2回の頻度で掃除をすると、しまう前の掃除が楽になります。

注意点としては、羽根や持ち手を掃除する際に、必ずハンディファンの電源をオフにしてください。
また、充電をしながらの掃除もしないように注意しましょう。

おわりに

ハンディファンの保管方法について解説いたしました。
以下が本コラムのまとめです。


  • ハンディファンの保管時はバッテリー残量をチェック

     理想のバッテリー残量は、50%~80%

     おすすめのバッテリー残量は、20%~80%

  • バッテリー残量は100%でも0%でもNG(過充電、過放電)

  • ハンディファンの保管についてのポイント

     定期的(目安は3カ月ごと)に充電する

     高温多湿の環境で保管しない

     ハンディファンへの圧力は避けよう

     保管前にハンディファンをきれいにしよう


また、ハンディファンのバッテリー残量については
「腹八分目(バッテリー残量が80%)がちょうどいい」
「満腹(過充電)も、空腹(過放電)もバッテリーの劣化につながる」
と覚えていただくと、充電するタイミングが分かりやすくなるかと思います。

ハンディファンは便利な反面、使用方法や保管方法の注意点が多くあります。
ですが、これらの注意事項はハンディファンを安全に使い、かつ長持ちさせるために必要なポイントでもあります。

暑い時期に頑張ってくれたハンディーファンを次のシーズンも使ってあげるために、ちょっとの手間をかけつつ少しの間お休みさせてあげましょう。

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