みなさんは自分が使っているモバイルバッテリーがスマートフォンを何回充電できるかご存じですか?
「あれ?もっと使えると思ったのにもう空っぽになった?」なんて経験ありませんか?
そんな時、充電できる回数がわかっていれば計画的に充電することができます。
そこで本コラムでは、モバイルバッテリーがどのくらい使えるか、何回スマートフォンを充電することができるのかを解説したいと思います。
スマートフォンを何回充電できるか知るには?
モバイルバッテリーがどのくらい使えるか、何回スマートフォンを充電することができるかを知るためには、モバイルバッテリーの容量とスマートフォンのバッテリー容量を知ることが必要です。
では、モバイルバッテリーの容量とスマートフォンのバッテリー容量はどのように調べればよいか解説します。
モバイルバッテリーのバッテリー容量(mAh)とは?
モバイルバッテリー製品などでよく聞く「mAh(ミリ・アンペア・アワー)」とは、電気量を表す単位です。
一般的にバッテリー容量を示す際に使われ、1時間あたりに流せる電流の量を表しています。(容量を使いきると考えたとき)
たとえば、内蔵バッテリー「10,000mAh」と記載されている製品は「10,000mAの電流を1時間流せる」という意味になります。
モバイルバッテリーの容量「mAh」は、モバイルバッテリーのパッケージや製品本体などに記載されています。
スマートフォンのバッテリー容量って?
スマートフォンのバッテリー容量は、スマートフォンに搭載されているバッテリーの電気量を表す数値です。一般的には「mAh(ミリ・アンペア・アワー)」で表されます。
Androidの場合、製品仕様にバッテリー容量の記載がされていることが多いので、お使いのスマートフォンの製品仕様をご確認下さい。
iPhoneの場合、バッテリー容量は、製品仕様に記載されていません。
(※下記は弊社での調査結果であり、参考値となります)
機種 | バッテリー容量 |
---|---|
iPhone 16 | 3,561mAh |
iPhone 16 Plus | 4,674mAh |
iPhone 16 pro | 3,582mAh |
iPhone 16 pro max | 4,685mAh |
iPhone 15 | 3,349mAh |
iPhone 15 Plus | 4,383mAh |
iPhone 15 pro | 3,274mAh |
iPhone 15 pro max | 4,422mAh |
iPhone 14 | 3,279mAh |
iPhone 14 Plus | 4,325mAh |
iPhone 14 Pro | 3,200mAh |
iPhone 14 Pro Max | 4,323mAh |
iPhone SE(第3世代) | 2,018mAh |
iPhone 13 mini | 2,406mAh |
iPhone 13 | 3,227mAh |
iPhone 13 Pro | 3,095mAh |
iPhone 13 Pro Max | 4,352mAh |
※数字は弊社の独自調査に基づくものです。他社の調査結果と異なる場合があります。
10,000mAhのモバイルバッテリーで3,000mAhのスマートフォンを何回充電できる?
では仮に、10,000mAhのモバイルバッテリーで3,000mAhのスマートフォンを充電する場合、何回充電することができるのでしょうか?
単純に割り算をすると、
10,000mAh(モバイルバッテリー)÷ 3,000mAh(スマートフォン)で、3回の100%充電と残り1,000mAh(33%充電)ですが、実際にはこうはなりません。
モバイルバッテリーの中にはリチウムイオン二次電池という物が内蔵されており、
パッケージやWebページで書かれている「10,000mAh」はこのリチウムイオン二次電池の容量を示しています。
リチウムイオン二次電池の出力は3.6V~3.7Vなどの電圧になっており、モバイルバッテリーはこのリチウムイオン二次電池の出力を5Vなどに変換します。(この5Vとはスマートフォンを充電する際に使うUSBケーブルの定格電圧です。)
変換することでモバイルバッテリーの出力できる容量が変わります。
そのため、さきほどの単純な割り算では実際の充電回数は分からないのです。
では、変換するとモバイルバッテリーの容量はどのくらいになるのでしょうか?
ちょっと難しいですが、電力容量(Wh)を用いて計算をします。
電力容量(Wh)は電圧(V) × 容量(mAh) ÷ 1000で求めることができます。
例として10,000mAhのモバイルバッテリーで説明します。
10,000mAhのモバイルバッテリーに内蔵されているリチウムイオン二次電池の電力容量(Wh)は
3.6V(リチウムイオン二次電池の出力電圧) × 10,000mAh ÷ 1000 = 36Whです。
この36Whを5Vに変換すると出力できる容量は36Wh ÷ 5V × 1000 = 7,200mAhになります。
この時、5Vに変換するために必要な電力が36Whから消費されます。
消費される電力は一般的に約15%程度となっており、実際に充電に使える容量は約85%になります。
なので、5Vで出力できる容量7,200mAhの85%くらいである6,120mAh(約6,000mAh)が求められます。
これにより、10,000mAhのモバイルバッテリーが実際に出力できる容量は、5V 約6,000mAhとなります。
この値を定格容量といいます。
では、改めて10,000mAhのモバイルバッテリーで3,000mAhのスマートフォンを何回充電できるでしょうか?
説明したように10,000mAhのモバイルバッテリーが実際に出力できる容量は5V 約6,000mAhです。
この6,000mAhを用いて計算をする必要があります。
6,000mAh(モバイルバッテリー) ÷ 3,000mAh(スマートフォン) = 2
となり、2回の100%充電ができることになります。
まとめ
- 目安の充電回数を知るためには、スマートフォンなどのバッテリー容量(mAh)とモバイルバッテリーのバッテリー容量(mAh)をまず知ること。
- モバイルバッテリーのバッテリー容量(mAh)をスマートフォンのバッテリー容量(mAh)で割っただけでは充電回数を求められないため、実際にモバイルバッテリーが出力できる容量(定格容量/mAh)を求める必要がある。
- リチウムイオン二次電池の出力は3.6V~3.7V。スマートフォンを充電するためには5Vに変換して計算する必要がある。
- 電力容量(Wh) = 電圧(V) × 容量(mAh) ÷ 1000で求めた数を5Vで割って1000を掛け、さらに出た数値の85%が定格容量(mAh)。
スマートフォンの充電回数 = 定格容量(mAh) ÷ スマートフォンなどのバッテリー容量(mAh)で求められる。
(例)上記10,000mAhのモバイルバッテリーで3,000mAhのスマートフォンを充電する回数
約6,000mAh ÷ 3,000mAh = 2回
※充電回数はあくまで目安値であり、使用環境によって変動します。
モバイルバッテリー本体に記載の定格容量
「計算の仕方はわかったけど、計算するのは面倒、どこかに書いてないの?」そうお思いの方も多いかと思います。ですが安心して下さい。
モバイルバッテリーには、本体に定格容量を記載することが義務付けられています。そのため、面倒な計算をせずに定格容量を確認することができます。
スマートフォンの充電ではUSBケーブルを用いるので、「5V」と書かれている項目を確認しましょう。
上の画像の製品(容量20,000mAhのモバイルバッテリー)では「5V/12,900mAh」と記載されています。
この12,900mAhが実際に出力できる容量(定格容量)になります。
このモバイルバッテリーでは、3,000mAhのスマートフォンを4.3回(12,900mAh ÷ 3,000mAh = 4.3)充電できることになります。
※スマートフォンを使用しながら充電を行うと、スマートフォンが電流を消費してしまうため若干回数が少なくなる可能性があります。
おわりに
まだまだ分かりにくいこの定格容量に関して、オウルテックでは今後の製品には、パッケージに下の画像のような記載をして、お客様に分かりやすい製品を作っていきます。