デジタル機器を使用する際によく見聞きするUSBですが、単にUSBといっても接続端子の形状が違っていたり、規格が違っていたりと複雑でわかりにくいのが現状です。
購入した後に「使用しているスマートフォンで使えなかった」「データの送受信ができなかった」などの失敗をしたことはありませんか?
本コラムでは、そんなUSBの種類と規格について解説したいと思います。
そもそもUSBってなに?
USBとは、「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称で、デジタルデバイス間でデータの転送や電力供給をおこなうための規格です。
コンピューターと周辺機器の接続、スマートフォンやカメラの接続など、さまざまな機器で使用されています。
USBコネクターの種類
USB Type-A
◆ USB Type-A(2.0)
パソコン側のUSBポートによく見られる最も標準的な形状で、主にキーボードやマウス、プリンター、外部ハードドライブなどの接続に使われています。
スマートフォンなどを充電する際に使用するAC充電器のポートにもあり、一般的ではありますが、最近ではUSB Type-CのものやUSB Type-CとType-Aのどちらも使用できるものが増えています。
◆ USB Type-A(3.0)
形状はUSB Type-A(2.0)と同じですが、転送速度に大きな違いがあり、USB Type-A(2.0)の約10倍もの速さで転送することが可能です。
2.0と3.0の違いは、端子内部の色を確認することで見分けることができます。
また、USB Type-Aコネクターの内部には上下があり、接続する際は端子の向きに注意が必要です。
コネクター中央に凸凹の縦線が入っている方(プラスチック部品のある方)が下です。
USB Type-B
◆ USB Type-B(2.0)
正方形の2つの角が削られたような形状のコネクターで、主にパソコンと接続するプリンターやスキャナー、HDD等のパソコン周辺機器に使われています。
◆ USB Type-B(3.0)
USB Type-B(2.0)端子の上部に端子が追加されたような形状のコネクターで、転送速度を重視するパソコン周辺機器に使われています。
Mini USB Type-B
正面から見ると少しくびれて見える形状のコネクターで、一部の古いデジタルカメラやドライブレコーダーなどに使われていました。
Micro USBが普及してからはあまり使用されなくなりました。
Micro USB Type-B
◆ Micro USB Type-B(2.0)
Mini USBのサイズを小さくしたような形状で、薄く抜けにくいという特徴があります。
少し前までAndroidスマートフォンやタブレット、デジタルカメラなどで多く使われていましたが、最近ではUSB Type-Cが使われるようになっています。
一方でハンディファンやモバイルバッテリーなどの一部では未だに使われている製品もあります。
◆ Micro USB Type-B(3.0)
Micro USB Type-B(2.0)コネクターを横に延長したような形状で、中央部分に窪みがあるのが特徴です。
ポータブルHDDや外付けDVDドライブなどの接続に使われています。
USB Type-C
コネクター形状に表裏がなく、どちらの向きでも接続可能な小型のコネクターで、主にAndroidスマートフォンやタブレット、iPad、MacBook、パソコン等の充電、データ転送などに使われます。
最近ではデバイスを高速充電することができる「USB PD(USB Power Delivery)」に対応した機器が増えており、USB PD対応の両端がUSB Type-C端子のケーブルを使用することで、デバイスを高速充電することが可能です。
※PDを利用するには充電するデバイスと充電器、ケーブルのすべてがPD規格に対応している必要があります。利用する際は事前に確認して下さい。
USBの規格と転送速度
USBの規格は種類が多く複雑です。
製品の発売時期や出荷時期により、過去の規格名と新しい規格名が混在している場合があるため、購入の際には注意が必要です。
下記はUSBの促進を目的として創設された団体、「USB Implementers Forum」が改訂した規格と転送速度です。
規格 | 旧表記 | 制定年 | 最大転送速度 |
---|---|---|---|
USB1.1 | 変更なし | 1998年 | 12Mbps |
USB2.0 | 変更なし | 2000年 | 480Mbps |
USB 5Gbps | USB3.0 | 2008年 | 5Gbps |
USB3.1(Gen1) | |||
USB3.2(Gen1) | |||
USB 10Gbps | USB3.1(Gen2) | 2013年 | 10Gbps |
USB3.2(Gen1×2) | |||
USB3.2(Gen2) | |||
USB 20Gbps | USB3.2(Gen2×2) | 2017年 | 20Gbps |
USB4(Gen3×1) | 2019年 | ||
USB 40Gbps | USB4(Gen3×2) | 40Gbps |
USB1.1
USB1.1は、1998年に制定された規格です。
最大転送速度は12Mbpsで、主にマウスやキーボードなどの低速デバイスに使用されていました。
USB2.0
USB2.0は、2000年に制定された規格です。
最大転送速度は480Mbpsで、USB1.1の約40倍のデータ転送速度を実現。これにより外部ハードドライブやプリンターなどの接続が劇的に改善されました。
USB 5Gbps
USB 5Gbpsは、2008年に制定された規格です。
最大転送速度は5Gbpsとなり、USB2.0と比べて約10倍に向上しました。
コネクターのソケット部分には青色が使用され、USB1.1、USB2.0と区別できるようになっています。
USB 10Gbps
USB 10Gbpsは、2013年に制定された規格です。
最大転送速度は10Gbpsで、USB 5Gbpsと比べて約2倍に向上しました。
USB 20Gbps
USB 20Gbpsは、2017年に制定された規格です。
※旧表記「USB4(Gen3×1)」の制定年は2019年です。
最大転送速度はUSB 10Gbpsの約2倍、20Gbpsに向上したことで、大容量のファイルや高解像度のビデオを迅速に転送することが可能となりました。
USB 40Gbps
USB 40Gbpsは、2019年に制定された規格です。
最高転送速度40Gbpsの高速データ転送や映像出力DisplayPort Alternate Mode(オルタネートモード)に対応するなど、さまざまな特徴を持っています。
詳しくはこちらのコラムをご覧下さい。
おわりに
今回解説したUSB規格の他に充電規格というものもあり、さらに複雑でわかりにくいUSBですが、今後もUSBの進化は続き、新たな機能や性能が追加されることが期待されます。
今後、USB製品を購入する際は、使用しているデバイスに合ったものを選ぶのはもちろん、規格や転送速度の違いを意識して購入してみてはいかがでしょうか。