スマートフォンやタブレットの充電、音声・映像などの情報の伝送を行うケーブル。便利な機能を搭載したものやノベルティとして、オリジナルのケーブルを作りたいと考えている担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、生産設備やマンパワーの不足により、開発に着手できないケースは少なくありません。

今回は、OEMを活用してオリジナルケーブルを生産するコツを解説します。カスタマイズ案や成功事例も紹介するので、オリジナルケーブルを作る際の参考にしてください。

OEMを活用すれば生産設備なしでオリジナルケーブルを作れる

生産設備を保有していなくても、OEMの形式をとることでオリジナルのケーブルを作れます。OEMを活用すれば、製品の生産をほかの企業に委託できるためです。

OEM(Original Equipment Manufacturing/Manufacturer)とは、他社ブランドの製品を作ることをいいます。委託企業の立場では、自社のアイデアを他社に製品化してもらうことを指します。

OEMメーカーは、委託企業が発案したコンセプトやデザインに則って製品を作ります。生産された製品は、委託企業のオリジナル製品として市場に出回るのが特徴です。

OEMの身近な事例では、大手コンビニが自社ブランド名で発売しているスイーツなどがあります。コンビニ各社は製品企画だけを行い、生産を他社に外注しているケースが大半です。ほかにも、アパレル・化粧品・電子機器などにおいても、縫製や生産を海外の工場に委託するOEM生産が幅広く採用されています。

一方で、委託先に企画や設計からすべて一任するODM(Original Design Manufacturing)を活用するのもひとつの手でしょう。

ODMはOEMとは異なり、製品の企画や設計、開発まで全プロセスをメーカー側が担います。開発に関するノウハウがないことや慢性的な人材不足に悩んでいる企業にとっては、ODMでメリットを得やすいでしょう。

オリジナルケーブルを作る際にOEMメーカーを選ぶポイント

オリジナルケーブルの生産にOEMを活用する場合は、イメージが実現できて体制が整っているメーカーを探すことが大切です。まずは、OEMメーカーを選ぶポイントを詳しくチェックしましょう。

イメージに見合う技術や開発力があるか

OEMを活用してケーブルを作る際は、自社のイメージを実現できる技術や開発力があるメーカーを選びましょう。技術や開発力が高いほど、希望通りの製品を生産できる可能性が高くなります。

メーカーの技術力や開発力を確認する際は、公式サイトや企業のパンフレットなどで、新製品の特徴や性能などを確認しましょう。新技術を用いている、技術の展開力があるなど、一定の品質や技術水準があるかの判断材料にできます。

とくにオリジナルケーブルの生産を企画している場合は、さまざまな条件を確認してメーカーを絞り込むことが大切です。希望する種類・カラーバリエーション・機能性・コードの長さなど、項目ごとにくまなく確認しましょう。

希望するロット数に対応できるか

ケーブルを生産できるOEMメーカーを探す際は、希望するロット数に対応しているか確認しましょう。最低ロット数や最高ロット数は、メーカーや製品によって異なります。

たとえば、1回につきケーブル1本から生産できる場合もあれば、1,000本以上からのみ承れることもあるでしょう。生産数が一定以上に達しないと、機械がうまく回らず品質が担保できないメーカーや製品もあるので、どのくらい作りたいか考慮したうえで検討することをおすすめします。

なお、大ロットは通常より納品に時間がかかることがあるので注意しましょう。数万個レベルで発注する場合は、納期に余裕を持つと安心できます。

生産スケジュールを把握する

OEMでケーブルを作る際は、生産スケジュールを把握して希望通りに進められるかメーカーに確認しましょう。必ずしも希望するスケジュール通りに進むとは限らないので、あとから慌てないよう事前に確認しておく必要があります。

OEMは一般的に、次のような段階で進みます。


  1. メーカーとの打ち合わせ

  2. 製品企画会議

  3. 製品方針の決定

  4. 見積もりの決定

  5. 生産開始

  6. 納品

  7. 販売開始



工程が多い分、早い段階で発注を前提にしてスケジュールを調整すると安心して進められるでしょう。メーカーの大半は複数のOEMを受託しているので、依頼が殺到すると生産が遅れる可能性もあります。どのくらいリソースを割けるのか、発注前にメーカーに確認しておきましょう。

サポート体制をチェック

OEMを活用してケーブルを作る際には、サポートの充実度もチェックしましょう。サポート体制が整っているメーカーなら、製品がよりよくなる提案や詳しい説明が期待できるでしょう。

たとえば、サポートが手厚いメーカーを選べば、専門的な知識をもとにしたアドバイスを受けやすい可能性があります。生産や販売には、法律やルールなどが細かく設定されています。数多くの決まりを網羅するのは難易度が高いため、知識を共有してくれるようなメーカーを選ぶと安心できるでしょう。

また、海外進出を考えている場合は、海外展開のサポートがあるか確認が必要です。海外に向けた製品開発や販路開拓力があるメーカーを選ぶと、海外進出の展望を描きやすくなるでしょう。

品質管理体制・品質管理保証が整っている

ケーブルの生産にOEMを用いるなら、品質管理体制や品質管理保証が整っているメーカーを選びましょう。一定の技術水準を備えていることの証明になり、高品質のケーブルを作れる可能性が高いからです。

品質管理体制とは、不良品の生産を防ぐよう管理することを指します。品質管理保証は、完成した製品に不良品がないかを確認することです。品質管理体制や品質管理保証が整っていないと、ケーブルの変形や異物混入、構造不良などが起こりかねません。

万が一に備えて、製品の不良が発覚したときの対応や保証期間も確認しておきましょう。アフターサービスやクレーム対応を行っているメーカーであれば、自社で対応しきれないときに頼りになります。

オリジナルケーブルを作る際のカスタマイズ案

自社でケーブルを作るなら、独自性を表現したいと考えている企業も多いはずです。どのようにカスタマイズすればよいのか悩んでいる方に向けて、以下でオリジナルケーブルのカスタマイズをいくつか提案します。

自社名やロゴを入れる

ケーブルの生産時には、自社名やロゴを入れると手軽にオリジナリティを表現できるでしょう。企業ごとにロゴやマークは異なるので、独自性を出せます。

自社名やロゴは、コネクタ部分に入れることが一般的です。巻き取り式のケーブルであれば、リールの中央にも入れられるメーカーが多いでしょう。

自社名やロゴ入りのケーブルをノベルティにすれば、宣言効果も得られます。自社の認知度やイメージを向上したい際に、検討してみてください。

カラーバリエーションを広げる

オリジナルのケーブルを作る際は、カラーバリエーションを増やすのもおすすめ。さまざまな色合いのものがあったほうが、お客様の選択肢が広がり喜ばれやすいでしょう。

ケーブルの色は、バッグの中に入れても目につきやすいビビットカラーや、落ち着いた雰囲気のアースカラー、光を反射するオーロラカラーなどアイディア次第で無数に広がります。

白や黒が定番であるなか、違った色合いのものだと目立って便利なことも多いでしょう。たとえば、配線が多い場所でケーブルを抜き差しする際に接続ミスを防げます。

ただし、カラーバリエーションを広げる場合は、最低ロット数に注意が必要です。1色につき最低ロット数分を生産しなければならないメーカーもあります。

便利な機能性をプラスする

オリジナルのケーブルを作るなら、便利な機能性をプラスすると手に取ってもらいやすいでしょう。利便性を重視する人のニーズに合致し、購入を検討してもらいやすくなります。

たとえば、巻き取り可能なタイプはケーブルをきれいに収納できるので、テーブルの上やバッグの中でもごちゃつきません。

使用頻度が高く抜き差しが多い方向けに作るなら、断線に強い加工が施されている製品が便利です。急速充電に対応しているケーブルは、スマートフォンの使用頻度が高い現代において需要が高いでしょう。

ターゲット層のライフスタイルに適した機能性が備わったケーブルであれば、喜んでもらえる可能性が高くなります。

OEMでオリジナルのケーブルを作る際の工程

OEMによるオリジナルのケーブルの生産工程は、一般的に次のような流れで行われます。大まかな工程を事前に把握して、スケジュールを立てる際の参考にしてください。

メーカーに問い合わせてケーブルの企画を進める

OEMを活用する際は、まず自社に適したメーカーを探してからどのような製品を作るか企画しましょう。ターゲット・予算・納期・販売計画などをメーカーと共有してから、具体案を練って開発をはじめる流れです。

具体案では、作るケーブルの詳細を決めていきます。USB Type-Cにするのか、Lightningケーブルにするのかなどを決めます。詳細はメーカーと相談しながら進めるのが基本です。

契約・発注

ケーブルの仕様を決定したあとは、契約を締結し発注に進みます。製法・材料・パッケージなど、製品の詳細も試作後の時点で決定するケースが多いでしょう。メーカーが作った見積もりを確認し、問題がなければ手続きを進めてください。

サンプル試作

具体案が決まったらサンプルを作り、改良を重ねましょう。メーカーとの齟齬がない指示どおりの製品になっているかを確認し、希望通りもしくは希望以上の製品に仕上げられるよう改良を重ねていきます。

サンプル作成期間は、1週間から2カ月程度が目安です。メーカーにより異なるので、事前に確認しましょう。なお、サンプルの改良を繰り返すと別途料金が発生するケースが多いので、具体案を固めておくことが大切です。

生産体制を確立して製造を実施

製品を量産できる体制が整ったら、メーカーが生産を開始します。メーカー側は必要な資材や調達ルートを確保するので、委託企業は生産スケジュールや納期の最終確認を行いましょう。

進行状況や品質問題についてメーカーから共有や相談があれば、委託企業は都度対応しつつ生産を進めます。

状況に応じてケーブルを改良する

製品が市場に出回ったあとは、必要に応じて改良を行います。市場から反響があれば、機能性やカラーバリエーションに工夫を施したリニューアル版などを検討する必要があるでしょう。

お客様の評価を調査し、既存製品以上にニーズに適した製品を開発したり、ターゲットの幅を広げたりしてみましょう。

OEMでオリジナルケーブルを作るときの注意点

OEMを活用する際は、明確な指示や生産前の課題解消を心がけましょう。以下では、OEMでオリジナルケーブルを作るときの注意点を解説します。

発注内容は具体的にまとめる

OEMでケーブルを作る際は、具体的に内容をまとめてから発注しましょう。指示を明確にすることで委託先と齟齬が生じにくくなり、希望通りの製品が仕上がりやすくなります。

たとえば、色・ケーブルの長さ・生産数などに違いが生じ、トラブルが発生する可能性があるかもしれません。具体的な数字や図を用いて指示を出せば、思い違いは防ぎやすくなるでしょう。

とくに海外OEMでは、言語や文化の違いから、より正確な指示が求められます。安価ではありますが、活用する際はトラブル対策を万全に行いましょう。

サンプルチェックで課題を解消しておく

ケーブル生産をメーカーに依頼する際は、サンプルをくまなくチェックして課題を解消しましょう。サンプルの時点で修正しておけば、希望と異なる形で生産に移ることを防げます。

ケーブルを作る際は、実際の使用感のチェックが大切です。使いにくい点や使いやすくするための工夫など、サンプルを使用して探しましょう。見本写真と相違がないか、ロゴのデータや位置は正しいかなどの確認も大切です。

生産後に修正を行うのは困難なため、サンプルチェックは慎重に行うことが基本とされています。納得のいくサンプルができるよう、メーカーと綿密なコミニュケーションをとりつつ進めましょう。

細やかな情報共有を行い、都度記録を残す

OEMを活用してケーブルを作るなら、メーカーとは細やかな情報共有をしたうえで記録を残しましょう。意思疎通を図りイメージを共有しておくと、失敗の防止につながりやすくなります。目に見える形で情報を記録して共有すれば、トラブルを回避しやすいでしょう。

たとえば、依頼・変更点・納期などはメールや文書など目に見える形で残すことが大切です。口頭では情報が正しく伝わらなかったり、行き違いが生まれやすかったりするので注意しましょう。

なかには、形式的な契約を結ばないメーカーもあります。業務委託契約書のように確実な取り決めがないのであれば、共有したことを逐一記録に残すことがより大切になるでしょう。

オリジナルのケーブルを作るならOEMを活用しよう

OEMによりメーカーの技術や生産ラインを活用することで、オリジナルのケーブルを作れます。設備や人的リソースに投資する必要がないので、製品開発などの事業を幅広く展開できるでしょう。

ケーブル自体はコンパクトなものの、さまざまなカスタマイズを施せます。自社のロゴ入りや目を引くカラーバリエーション、便利な機能性などさまざまなアイディアを反映して、お客様の印象に残る製品を目指しましょう。

オウルテックでは、確かな技術力と自社一貫体制を備え、スムーズな対応が可能です。高いレベルで品質を追求し、安心できるものづくりを行っています。オリジナルケーブルのOEM生産についてのご質問・ご依頼を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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