ノベルティ制作時に欠かせない、企業名やロゴの名入れ。デザイン性を意識しながら施すことで、自社の宣伝効果以外にもさまざまなメリットをもたらすでしょう。
本記事では、ノベルティの名入れで得られる効果と制作のポイントを解説します。名入れしやすい商品や印刷の手法も紹介するので、ノベルティを制作する際はぜひ参考にしてください。
ノベルティに名入れをすることで得られるメリット
ノベルティに名入れやロゴ入れを施すと、自社で制作したことを示せます。ほかにも、認知度や好感度を高める効果も得られるなど、さまざまなメリットが得られるでしょう。まずは、ノベルティに名入れをすることでどのような効果が期待できるのか解説します。
認知度向上につながる
名入れしたノベルティは、企業の認知度アップに役立ちます。商品に企業名やロゴが入ることで贈り手が一目瞭然になり、宣伝効果を得られるでしょう。
多くの方に自社の存在を知ってもらうことで、集客や売上の上昇につながります。受け取ったお客様が自宅やオフィス、学校など人目に触れる場所でノベルティを利用すれば、より多くの方に認知してもらうことが可能です。
魅力的なノベルティでも、名入れがないと贈り手がわからず認知度向上にはつながらないため、せっかくノベルティを用意するならぜひ名入れやロゴを活用しましょう。とくにロゴは視覚に作用して記憶に残りやすいので、積極的に取り入れることをおすすめします。

好印象を抱いてもらいやすい
ノベルティに名入れをすることは、間接的に自社に好印象を抱いてもらうことにつながります。企業名を目にする機会が増え、単純接触効果を狙えるためです。
単純接触効果とは、繰り返し接することで好感度が高くなる現象を指します。たとえば、動画広告や看板などを目にする機会が多いほど、好感や共感を抱く心の働きが該当します。名入れされたノベルティも繰り返し利用することで、商品だけでなく企業自体にも愛着が生じやすくなるでしょう。
好印象を抱いてもらうには、使用頻度が高い商品をノベルティに選ぶのがおすすめです。ボールペン・メモ帳・スマートフォン関連グッズなど日常に馴染む便利な商品に名入れを施して、自社の印象を高めましょう。

グッズに独自性が生まれる
自社の名入れをするだけで、商品に独自性が生まれます。企業の名前やロゴがデザインのひとつになるので、オリジナリティがある商品に仕上がるでしょう。
ただ名入れすればよいわけではなく、センスよく自社名やロゴを入れることが求められます。企業や商品のテーマカラーを取り入れたり、フォントにこだわったりすることで、使いたいと思われるノベルティになるでしょう。
商品に対して、企業名やロゴのバランスを考慮することも欠かせません。名入れが大きすぎると悪目立ちして日常使いしにくくなり、マイナスイメージにつながるので注意しましょう。
名入れノベルティの印刷方法は?種類と特徴を解説
ノベルティに名入れを施すなら、商品に適した印刷方法を選ぶことで美しい仕上がりが期待できます。ここでは、名入れノベルティの印刷方法ごとに特徴を解説します。
パッド印刷:曲面や凹凸にも対応できて低コスト
パッド印刷は曲面や凹凸がある商品に印刷できるうえに、コストを抑えられる印刷方法です。シリコン製で弾力があるパッドは、平面ではない商品にもフィットします。インクの使用量が少ないので、コストも削減できるでしょう。
パッド印刷は、スタンプのように押しつけて商品に印刷する方式です。ボールペン・キーホルダー・タンブラー・マグカップなど、印刷面が狭く曲面や多少の凸凹がある商品にも対応できます。
一方で、広い範囲への印刷はムラになりやすいので、大きな商品には向きません。多色使いやグラデーションはできないため、シンプルな名入れに活用することをおすすめします。
シルク印刷:耐久性が高い。大きいグッズ向き
シルク印刷は耐久性に優れており、大きいグッズへの印刷に向いています。インクを熱で乾燥させて定着させるので、簡単に剥がれないでしょう。印刷に使う版は高価ではないうえに面積によって価格が変わらないので、低コストを保ちつつ広範囲に印刷できます。
シルク印刷は1色ごとに版を作成し、印刷を施す手法です。洗濯しても印刷面が劣化しにくいので、衣類・タオル・バッグなどの布製品へ印刷する際に活用されています。特殊インクや加工にも対応でき、グリッターやヴィンテージ風の印刷も施せるため表現の幅が広いのが魅力です。
一方で、非常に細かいデザインはインクで柄がつぶれる可能性があります。シルク印刷を活用する際は、デザインとのバランスをよく確認しましょう。
回転シルク印刷:円柱形のグッズ向き
回転シルク印刷は、円柱形の商品に名入れする際に用いられます。円柱形のグッズを1周回転させながら、シルク印刷と同じ原理で名入れが可能です。
円柱形の商品に対して360度全面に印刷できるので、インパクトのある大きなデザインを施したいときに活用できます。金属製やプラスチック製のタンブラー・ボトル・カップなどにはっきりと印刷でき、ロゴの存在感をアピールできるでしょう。
ただし、連続柄の場合はデザインが途切れてしまう場合があるので要注意。360度の印刷に対応しているものの、1cmほど空白ができてしまうことがあるので、デザインはよく考慮しましょう。
インクジェット印刷:画像など細かいデザイン向き
インクジェット印刷は、画像やキャラクターなど細かいデザインを印刷する際に用いられます。鮮やかなフルカラー印刷で、繊細なデザインもきれいに再現できるでしょう。
商品にインクを吹き付けて印刷するので、グラデーションや中間色の表現にも優れています。UV光を照射してインクを定着させることから、耐熱性・耐水性・耐光性が高い点も魅力です。プラスチック・紙・布製品など多くの素材に対応しており、幅広い商品に印刷できるでしょう。
ただし、CMYKの4色を掛け合わせるので、表現できない色もあります。CMYKとはシアン・マゼンタ・イエロー・黒の4色です。金銀や蛍光色など特殊なカラーには対応できないので、デザインに使う色に注意しましょう。

素押し・箔押し:凹み・金箔などをつけられる
素押しは凹みを、箔押しは金箔や銀箔などをつけられる印刷方法です。熱と圧力をかけて、グッズに押し印や色箔の転写ができます。
素押し印刷や箔押し印刷は、素材の風合いを残したまま高級感のある仕上がりにしたいときに用いるとよいでしょう。レザーや合皮とはとくに相性がよく、ブックカバー・手帳・ポーチなどのノベルティにおすすめです。
ただし、広い範囲の印刷は箔が剥がれやすくなるので難しいのがデメリットです。熱と圧力を用いる印刷は、繊細なデザインにも向きません。あくまでワンポイントとしての活用をおすすめします。
熱転写:布地に鮮明なデザインを施せる
熱転写は、布地に鮮明なデザインを印刷できる手法です。フィルムシートにデザインと糊をプリントし、生地に圧着して印刷することで商品本体の生地の影響をほとんど受けずに仕上げられます。
熱転写は、インクジェットでは対応できないポリエステルやナイロン生地などに、イメージどおりのデザインを施したいときにおすすめです。版を起こす必要がなく、小ロットのノベルティ制作にも活用できます。
ただし、インクジェット印刷と同様に、表現できない色彩もあります。CMYKの4色の掛け合わせをもとに、デザインを考案しましょう。

昇華転写:陶器やポリエステル素材の縫製品におすすめ
昇華転写は、陶器やポリエステル素材の縫製品への名入れで活用される印刷方法です。転写紙をグッズに貼り、加熱しながらインクを染み込ませるのでしっかり浸透します。商品にインクが乗っている質感を出さずに、自然に仕上げたいときにおすすめです。
昇華転写であれば、グラデーションも表現できます。陶器・金属・綿・ポリエステルなど、さまざまな素材に印刷できるのもポイント。熱転写と同様に版を起こさず印刷できるので、小ロットのノベルティ制作にもおすすめです。
ただし、CMYKの4色の掛け合わせ以外の色や、白は表現できません。白の指定箇所は商品本体の色が反映されるので、デザインの考案時は注意しましょう。

名入れノベルティは商品代のほかに版代・印刷代が発生する
名入れノベルティの制作費用には、商品代のほかにも版代や印刷代がかかります。版代は、名入れ原稿やデータから印刷に用いる版を起こす費用です。印刷代は商品に印刷する際にかかる費用で、印刷するデザインのサイズ・数量・印刷方法などによって変動します。
さらに、大きな商品への印刷やカラフルなデザインを施す場合は、印刷代が上がる傾向にあります。2色なら使用するインクや版が2倍になるので、制作費も約2倍程度となることがある点にも注意しましょう。
名入れノベルティ制作の注意点は?希望どおりに仕上げるコツを解説
名入れノベルティの制作にあたってデザインを考案する時点で、注意すべきポイントがあります。ここでは、希望どおりのデザインに仕上げるコツを解説します。
企業名・ロゴのデータはメーカー指定の形式で用意する
名入れノベルティの制作時には、メーカーが指定するデータ形式で企業名やロゴを用意すれば、そのまま印刷に移れてスムーズです。指定していない形式で提示すると、別途加工が必要になることがあり手間や費用がかかるでしょう。
メーカーで指定されることが多い形式は、Adobe Illustrator(イラストレーター)やAdobe Photoshop(フォトショップ)で作成したものや、PDFのデータです。ファイル名に.ai、.psd、.pdf、.epsと記載がある形式が求められるケースが多いでしょう。
一方で、jpgやpngなどの画像データや、ワード・エクセル・パワーポイントなどに添付したデータは、そのまま反映できず制作費が別途かかりやすい傾向にあります。
加工が自分で行えない場合は依頼できるケースもあるので、ノベルティの制作会社や印刷会社に相談してみましょう。

文字にはアウトラインをかけて図形化する
名入れノベルティのデータを制作する際は、文字にアウトラインをかけて図形化しておきましょう。文字が意図しない形に変化して、デザインが崩れる事態を防げます。
アウトライン化とは、文字を点と線でつないだ図形にすること。データ制作を行うPCと名入れメーカーのPCでは、同じフォントをインストールしていないことがあるので、別の書体に置き換わったり文字化けしたりすることが多々あります。
別の環境で開いても同じフォントを保持できるようにアウトライン化をしておけば、印刷トラブルを防ぎやすくなるでしょう。アウトライン化は、主にAdobe Illustrator(イラストレーター)を用いて行います。手順の難易度はさほど高くないので、ソフトの公式サイトで手順を確認して実行してみてください。
なお、アウトライン化したあとは文字の打ち直しなどの変更はできません。修正があったときに備えて、元のファイルは別名保存しておきましょう。

カラーモードはCMYKに変換する
ノベルティに入れる企業名やロゴを制作する際は、カラーモードをCMYKに変換しておきましょう。カラーには印刷用のCMYKと、ウェブ用のRGBの2種類があります。RGBで制作するとPCで見る際はイメージどおりかもしれませんが、印刷時に色の表現が異なってしまいます。
CMYKは、白紙に4色のインクですべての色を表現する方法です。C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)の3原色が用いられ、すべてが混ざり合うとK(黒)を再現できます。
一方で、RGBはモニターに3色の光を投影しすべての色を表現する方法です。R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の3原色が用いられ、CMYKとは再現できる色の幅が異なります。RGBでデータを制作すると、印刷時にくすんだ色に見えるでしょう。
RGBで制作したデータでも、印刷時に同じ色で再現する手法もありますが、印刷費が高額になることがあります。とくに発色がよい色を印刷するなら、カラーモードの設定を間違えないよう注意しましょう。

名入れするならどんなグッズ?おすすめノベルティ商品を紹介
名入れノベルティを制作するなら、スマートフォン関連グッズや文房具など頻繁に利用できる商品がおすすめです。最後に、名入れやロゴ入れしやすいおすすめの商品を紹介します。
スマートフォン関連グッズ
スマートフォン関連グッズは、利用する機会が頻繁にあり持ち歩くシーンも多いため、名入れの効果を得やすいでしょう。認知度向上や印象アップを期待しやすい商品といえます。
印刷面を広く取りたい場合は、モバイルバッテリーやスマホスタンドがおすすめです。平面部分が大きいので、デザインをしっかり反映できます。一方で、ケーブルやスマホクリーナーなどは、小さいため印刷の方法やデザインはより検討が必要ですが、複数個あっても困らず便利で好印象につながりやすいでしょう。
印刷を施す面やデザインに悩んでいるなら、実際にモバイルバッテリーやケーブルに名入れやロゴ入れを行い成功した事例も参考にしてみてください。
▼制作の成功事例と商品はこちら▼
愛着を持てるデザイン性を追求したモバイルバッテリーのノベルティ
実用性と品質を兼ね備えたケーブルのノベルティ

文房具
名入れするなら、文房具のノベルティもおすすめです。受け取る側が学校や勤務先など幅広いシーンで利用すると想定できるので、高い宣伝効果を期待できます。
ノベルティの定番として挙げられるのは、ボールペンやメモ帳など。より広い面に印刷するなら、ファイル・ノート・カレンダーなどを選択しましょう。
文房具類は、比較的安価で制作できる点も特徴です。制作費を抑えつつまとまった量を発注したいときのノベルティとして、候補のひとつに入れてみましょう。
日用品・消耗品
生活に密着している日用品や消耗品も、名入れの効果を得やすい商品です。毎日のように利用するものなので、自然に愛着を抱いてもらいやすいでしょう。
日用品や消耗品は、エコバッグ・タンブラー・カトラリーセット・タオルなど繰り返し使えるものから、ウェットティッシュ・マスク・トイレットペーパーなどすぐに使い切れるものまで多種多様です。わざわざお金を出して自分で購入するのはもったいないと思う商品もあるので、配布すれば喜ばれる可能性が高いと考えられます。
オリジナルのノベルティを制作するなら、SDGsを意識した商品がとくにおすすめです。環境への配慮もアピールできるので、好印象につながりやすくなるでしょう。
名入れノベルティ制作のスケジュール
名入れノベルティ制作のスケジュールは、原稿の入稿>版下作成>印刷作業>出荷と段階的に進んでいきます。メーカーにより異なりますが、制作期間は1〜2週間ほどを目安にしましょう。
自社で行うのは、問い合わせや名入れデータの入稿です。商品やメーカーによっては、担当者との打ち合わせやサンプル試作も行ったうえで制作を進めていきます。
商品の在庫状況・注文数・デザインや、繁忙期などの要因により、スケジュールが変動することも。事前に納期を確認し、必要な期日までに間に合うよう管理しましょう。
名入れノベルティで宣伝効果と好感度をアップさせよう
認知度向上や販売促進などの効果をもたらすノベルティには、企業名やロゴの印刷がマストといえます。しかし、ただ大きく名入れするだけでは普段使いしにくいと思われてしまうため、デザイン性を意識することが大切です。
ノベルティとして贈る商品はさまざまなので、適切な印刷方法の選択もポイントです。イメージと仕上がりに齟齬が生じないように、メーカーに相談したうえで名入れ印刷を進めていきましょう。
