通勤・通学時の音楽再生や動画視聴、通話、ウェブ会議など、活用シーンが多岐にわたるイヤホン。ワイヤレスタイプや有線など形状がさまざまで、商品により音質が大きく異なるので、自社独自の製品を開発したいと考えている企業も多いでしょう。

今回は、OEMを活用してオリジナルイヤホンを製造するコツを解説します。カスタマイズ案や製造スケジュールの例も紹介するので、オリジナルイヤホンを製造する際の参考にしてください。

オリジナルイヤホンを製造するならOEMを活用しよう

製造ラインを持たないもののオリジナルイヤホンを販売したいと考えているなら、OEMメーカーの活用を検討してみてください。自社のアイデアを他社に製造してもらえるので、工場や人員など製造に関するパワーが不足していても、オリジナル商品を生み出せます。

OEM(Original Equipment Manufacturing/Manufacturer)とは、自社ブランドの製品を他社メーカーに製造してもらうビジネスモデルのこと。製造を担うのは他社ですが、製品自体は自社のオリジナルとして市場に出回ります。

オリジナルイヤホンに関する知識が不足しているなら、商品開発から任せられるODM(Original Design Manufacturing)を活用するのも手です。ODMは、製品の設計から開発、製造まで全プロセスを委託できます。アイデア自体はあるものの設計に落とし込む方法がわからないなら、ODMメーカーに依頼を検討しましょう。

OEMを活用してオリジナルイヤホンを製造するメリット

OEMを活用すると、製造コストの削減や他業務への集中が叶うので、得られるメリットは多いでしょう。ここでは、OEMでオリジナルイヤホンを製造するとどのような効果が期待できるのか解説します。

製造コストを削減できる

OEMを活用すれば、製造コストの削減につながります。製造に必要な設備や人材を新しく揃える必要がないので、初期段階の投資を抑えてクオリティの高い商品を目指せるでしょう。

製造のためには、工場や勤務する人員を確保しなければなりません。技術者の育成や手配・ノウハウの習得・光熱費なども合わせると、初期投資だけで数千万円規模の予算が必要になることもあります。

しかし、OEMなら製造設備や技術力のある人員がそろっており、専門知識の習得にかかる時間も削減できます。委託費用はかかるものの、金銭コストや時間的コストを抑えられるでしょう。

小ロットから様子を見ながら製造できるケースも多く、在庫リスクの軽減にもつながります。売れ行きの予測がつきにくい新商品を少しずつ製造して手堅く販売したいときにも、OEMの活用がおすすめです。

新商品開発・マーケティングに集中できる

OEMは、新商品の開発やマーケティング業務などに集中しやすい環境を作れます。製造業務をメーカーに委託できるので、ほかの業務に注力することが可能です。

開発やマーケティングに注力すると、ブランディングを高める手法をとりやすくなります。トレンドに適した新商品の企画や、効果的なプロモーションの考案と実践に人員と費用を割けるので、企業として大きく成長できる可能性もあります。

一方で、製造技術が育たなくなる弊害もある点には注意が必要です。製造技術を保ちつつOEMを活用するなら、自社の技術力やノウハウを向上する努力も忘れないようにしましょう。

製造経験のない商品を開発できる

OEMを活用すれば、製造経験がない商品の開発も可能です。設備がなくて作れなかった商品でも、委託するメーカーが設備を保有していれば作れます。

スマートフォン・自動車・化粧品などは、OEMメーカーを活用して作っているケースが少なくありません。

なお、OEMメーカーを選ぶ際は、開発したい商品の知識や製造実績があるメーカーに委託しましょう。自社では思いつかないアイデアを提案してもらえて、商品の魅力をさらに引き出してもらえる可能性があります。

オリジナルイヤホンの製造前に種類をチェック!

イヤホンとひと口にいっても形状はさまざまであり、機能性も異なります。オリジナルの商品を作る前に、それぞれのタイプの特徴を把握しておきましょう。

完全ワイヤレスイヤホン:絡まりがなく利便性が高い

近年登場した完全ワイヤレスイヤホンは、ケーブルが絡まる心配がなく利便性が高いことが特徴です。端末から無線で音声データを転送する方式なので、ケーブルがなくてもイヤホンの役割を果たせます。

端末にケーブルを差さず専用ケースから取り出して耳に装着すれば利用できるので、着脱も楽なのが魅力です。スマートフォンを充電しておりコネクタが使えないときでも、イヤホンの利用には影響しません。

完全ワイヤレスイヤホンは、ノイズキャンセリングなどの付加価値が搭載されている製品が多く、幅広いターゲット層の注目を集められます。反面、機能の拡張により当初の予算よりも費用が増えたり、接続設定などが煩雑になるケースも想定される点には注意しましょう。

左右一体型ワイヤレスイヤホン:落下や片耳紛失の心配を軽減

左右一体型ワイヤレスイヤホンは、落下や片耳紛失の心配がないことが特徴です。左右のイヤホンがケーブルで接続されており首に掛けられるので、完全ワイヤレスイヤホンを紛失しがちな方からの需要があります。

本体のケーブル部分にリモコンの搭載が可能で、スマートフォンを取り出さずに音楽の再生・停止・曲送り・曲戻し・音量調整・通話などの操作が行える点がメリットです。

ただし、首元にかかるケーブルをストレスに感じる方もいるでしょう。完全ワイヤレスイヤホンと同様に充電が必要なので、充電を忘れるとバッテリー切れにより利用できなくなることに不満を感じる方が一定数いる点にも注意が必要です。企画する際には、なるべく充電の持ちがいいものにできるようOEMメーカーと相談してみましょう。

また、ワイヤレスイヤホンの場合は、電波法に基づく技適認証が必要なぶん費用がかかります。有線イヤホンを作るよりも認証費用がかさむ点には、あらかじめ注意が必要です。

有線イヤホン:充電・設定不要で使用できる

有線イヤホンは、充電や設定不要で手軽に使用できるタイプの商品です。音声データはケーブルから直接伝送されるので、端末のコネクタや音声出力ポートに接続すればすぐに利用できます。

安定性が強く、電波干渉の影響を受けにくいのもメリット。音質や遅延を気にする方や、複雑な設定を苦手とする方、充電を忘れがちな方からの需要が高いのは有線イヤホンタイプといえます。音が途切れると困るWeb会議などでも重宝するはずです。

ケーブルの絡まりや端末から一定の距離以上離れられないなどのデメリットはありますが、現在でも有線イヤホンの需要は高いでしょう。オリジナルイヤホンを製造するなら、ワイヤレスイヤホンだけでなく有線タイプも視野に入れることをおすすめします。

オリジナルイヤホンのカスタマイズ案

自社独自のイヤホンを開発する際は、見た目や機能性に特徴を持たせましょう。ここでは、オリジナルイヤホンのカスタマイズ案を紹介します。

カラー展開・ロゴ挿入など見た目にこだわる

オリジナルイヤホンを開発する際は、多彩なカラー展開やロゴ挿入などで独自性を表現しましょう。視覚に訴求することで、手に取ってもらえる可能性が上がります。

イヤホンの定番カラーは黒や白ですが、現在はパステルカラーやメタリックカラー、オーロラカラーなどさまざまな色彩で展開されています。1つの商品に対してカラーバリエーションを増やすと、より多くの方の好みにフィットする商品に仕上がるでしょう。

イヤホン本体にロゴを入れられる箇所は、イヤホントップのみです。小さいスペースなので、シンプルなデザインを目指すとまとまりが生まれます。完全ワイヤレスイヤホンなら、ケースにデザインすると印刷面をやや大きく取れるので、あわせて検討してみてください。

イヤホンは身につけるものである以上、ファッション性にこだわる方も一定数います。他社にはないカラーやデザインで、見た目からお客様の心をつかみましょう。ただし、派手すぎたりロゴや社名が大きすぎたりすると使いづらくなるので、独自性を意識しつつ使いやすいものを目指すことが大切です。

防水性能を付帯させる

オリジナルイヤホンの製造にあたり、防水性能の付帯も検討してみてください。スポーツや移動中に使用する方は、汗や雨天に備えて防水性能の有無をチェックする傾向があるためです。

防水性能は、IPコードで表記されます。IPとはIngress Protectionの略で、侵入に対する保護という意味があり、防塵・防水性能の高さを示しています。

IP等級と性能の違いは、次のとおりです。


  • IPX1〜2:真上から垂れる程度の水滴や小雨に対応

  • IPX3:通常の雨天に対応

  • IPX4:多方面からの雨や水飛沫に対応

  • IPX5:多方面からの水の直接噴射に対応

  • IPX6:多方面からの水の強い直接噴射や豪雨に対応

  • IPX7:短時間の水没に対応

  • IPX8:水面下での利用が可能



汗や雨、濡れた手での装着に対応できるイヤホンを目指すなら、IPX4以上の規格が求められるでしょう。ただし、防水性能が高い商品であっても、用途を誤り長時間水に浸すと故障の危険性があるので、販売時は表記に注意する必要があります。

マイク機能を付帯させる

オリジナルイヤホンを製造する際は、マイク機能の付帯も検討しましょう。リモートワークの一般化により、マイク機能の需要は高まりつつあります。

マイク機能が付帯しているイヤホンでは、ハンズフリーの通話が可能です。Web会議をしながらPCをタイピングする際や、ボイスチャットしながらゲームプレイをするときなど、作業と会話を両立できます。

ただし、マイク機能を付帯させると、音質が落ちるケースがある点には注意が必要です。どのようなターゲット層に向けて売り出すのかに合わせて、マイクの有無を決めましょう。

ドライバーの種類を選び音質を追求する

高い音質を求めるなら、設計時に選ぶドライバーの種類にもこだわりましょう。ドライバーの大きさや型式の違いにより、音質は異なります。

ドライバーとは電気信号を音に変換する部分であり、イヤホンの心臓といえます。ドライバーの種類は、大きく分けて4種類です。


  • ダイナミック型:低音域が得意で力強い音質が特徴。中高音域は伸びにくい

  • バランスドアーマチュア型:中高音域が得意でクリアな音質が特徴。低音域が響きにくい

  • ハイブリッド型:2種類以上のドライバーで構成。音質のバランスがよい一方で、バラつきが生じやすい

  • コンデンサー型:原音に忠実な音質を再現可能。製造時に高い技術力が求められる


また、ドライバーの素材にも注目しましょう。炭素繊維を使用した新しい構造のドライバーなら、ダイナミック型でも高音域まで高音質で楽しめます。

接続端子の種類を使用するデバイスに合わせる

有線のオリジナルイヤホンを製造する場合は、接続端子の種類をデバイスに合わせましょう。接続するデバイスによって、音声出力ポートの形状は異なります。

たとえば、iPhone 15向けの製品であればUSB Type-C、iPhone 6〜14向けならLightningと、対応する端子は異なります。Androidはイヤホンジャックを搭載している製品が多いので、接続端子はミニプラグを製造する必要があるでしょう。

接続端子の変換ケーブルを作ることも、あわせて検討するのがおすすめです。異なる接続端子を持つデバイスを複数併用する方からは、需要があるでしょう。

オリジナルイヤホンの製造スケジュール例

OEMによるオリジナルイヤホンの製造工程は、一般的に次のような流れで行われます。大まかな流れを事前に把握して、スケジュールを立てる際の参考にしてください。

企画の立案後にOEMメーカーに問い合わせる

オリジナルイヤホンをOEM製造するなら、まずは社内で企画を立てることが大切です。自社のコンセプトやニーズに沿って、作りたい商品・予算・利益計画などを練ってから、OEMメーカーに問い合わせましょう。

企画を立案する際にマーケティングについても検討しておくと、販売時の失敗を防ぎやすくなります。お客様や流通業者に訴求するポイントを押さえた商品を作れるか、きちんと考慮しておきましょう。

問い合わせたOEMメーカーとの打ち合わせ時には、製品のイメージや想定するターゲット層、希望する納期や予算などを伝えます。希望に応じてさまざまな提案があり、対応が丁寧なメーカーを選ぶと製造がスムーズに進むでしょう。

サンプルの試作・チェック

メーカーを決定して打ち合わせや契約を締結したあと、サンプル試作とチェックを行いましょう。

イヤホンの場合は、サンプルの製造に3週間ほどかかることが想定されます。品質をチェックして、改良点があればさらに試作を重ねる必要があるでしょう。

希望する納期に間に合わせるためには、一度のチェックで多くの修正点を拾い、試作の回数を可能な限り抑えることを意識してください。なかにはサンプル試作費用がかかるメーカーもあるので、問い合わせ前に確認しておくと予想外のコストを削減できます。

製造・納品

サンプルで課題を解決できたら、製造に移ります。納期・ロット数・製造内容を決定したうえで、最終見積もりを確認したら製造をスタートしましょう。

製造が進んでいる最中は、都度必要に応じて質問への対応や納期の管理を行います。製造から納品までにかかる期間は、約2カ月が目安です。製造完了後は、品質の検査を経て指定した店舗や倉庫に納品されます。マーケティングの準備を行い、商品の販売に備えましょう。

OEMでオリジナリティあふれるイヤホン開発に挑戦しよう

OEMを活用すれば、製造ラインがなくても自社独自のイヤホンを作ることが可能です。初期投資や参入リスクを削減しつつ量産体制を整えられるので、製造ノウハウが不足している企業にとってはとくにメリットが大きいでしょう。

イヤホン自体はコンパクトな商品であるものの、選べる形状や付帯できる機能はさまざまです。自社のお客様のニーズを汲み取る商品のアイデアがあるなら、OEMを活用してぜひ実現してみてください。

オウルテックでは、たしかな技術力と自社一貫体制を備え、スムーズな対応が可能です。高いレベルで品質を追求し、安心できるものづくりを行っています。オリジナルイヤホンのOEM製造についてのご質問・ご依頼を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

▼OEM・ODM製造に関するお問い合わせはこちら▼
国内OEM・ODMメーカーのオウルテック

個人のお客様
製品のご使用方法・製品不具合
お問い合わせ
法人様用
お問い合わせフォーム
お問い合わせ
メディア・広報様用
お問い合わせフォーム
お問い合わせ

名入れ・ノベルティ
OEM・ODMなど

今すぐ問い合わせる

オウルテックのプレミアムノベルティ